Society 5.0(ソサエティ 5.0)という言葉、聞いたことがあるでしょうか?
平成28年に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」のなかで我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されたものです。しかしながら、4年経った今でもあまり認知されていなくピンとこない方も多いと思います。
この記事ではSociety 5.0(ソサエティ 5.0)とは何なのかを解説していきます。
Society 5.0(ソサエティ 5.0)とは?
そもそも「Society 5.0(ソサエティ 5.0)」とは何なのでしょうか?
内閣府はSociety 5.0を、『サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)』と定義しています。
私たち人類の社会は、「狩猟社会(Society 1.0)」「農耕社会(Society 2.0)」「工業社会(Society 3.0)」「情報社会(Society 4.0)」と発展していっており、今回提唱された「Society 5.0」はこれらの社会に続く新たな社会を指します。
つまり情報が溢れている現在(Society 4.0)の課題に対して、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)などの最新テクノロジーを活用した便利な社会が「Society 5.0」というわけです。
Society5.0の推進を後押しするニュースもありました。スーパーコンピューターの富岳のことです。
Society5.0に役立つようなインフラとして、AIやビッグデータ解析の分野でも優秀な性能を示すことを狙っている。
出典:スパコン「富岳」がライバル圧倒で4部門首位達成 2020年6月23日
速さを競う演算能力で1位になったのは、京が1位になって以来、8年半ぶりである。ビッグデータ解析に関する性能でも1位になり、また、京が1位を取り続けたGraphでも1位となり、世界でもっとも探索に優れたコンピュータとなった。さらに、AIで力を発揮する面でも、ダントツの1位になった。
これで随分と進みそうです。具体的に実用化に向けて試験運用されているものも出始めていますしね。
課題先進国 日本
日本は、エネルギー、資源、食料等の制約、少子高齢化や地域経済社会の疲弊といった課題を抱えています。例えば、現在の課題として少子高齢化をみてみましょう。
こうした人口構成の変化は、様々な社会問題として顕在化してきています。日本が“課題先進国”と呼ばれるのも、他国に先駆けて人口減少が進行しているからです。
現在の社会システムでは経済発展と社会的課題の解決を両立することは困難な状況になってきています。このように世界が大きく変化する一方で、IoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータといった社会の在り方に影響を及ぼす新たな技術の進展が進んできており、我が国は、課題先進国として、これら先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会であるSociety 5.0の実現を目指しています。
出典:内閣府 第5期科学技術基本計画
Society 5.0(ソサエティ 5.0)の具体例
これまでの問題点を解決すべく、様々な分野でSociety 5.0の活用が検討されています。
医療・介護分野
コロナ禍で「オンライン診療」という言葉を耳にすることが多くなりました。
オンライン診療とは、スマートフォンやタブレットなどを用いて、病院の予約から決済までをインターネット上で行う診察・治療方法です。
Society 5.0では、各個人のリアルタイムの生理計測データ、医療現場の情報、医療・感染情報、環境情報といった様々な情報を含むビッグデータをAIで解析することにより、遠隔診療やロボット介護などで患者負担の軽減や医療・介護現場の人手不足解消などが可能になります。
農業分野
高齢化や後継者不足などが問題視されている農業分野ですが、省力化や効率化で注目されているのが無人トラクター(ドラマでも取り上げられていましたね)やドローンです。「スマート農業」とも言われています。
Society 5.0では、気象情報、農作物の生育情報、市場情報、食のトレンド・ニーズといった様々な情報を含むビッグデータをAIで解析することにより、社会全体としても食料の増産や安定供給、農産地での人手不足問題の解決、食料のロス軽減や消費を活性化することが可能となります。
まとめ:これからについて
新しい技術や仕組みが導入されると新たな雇用が生まれてきます。
例えば、2019年には広告費でインターネットがテレビを超えました。YouTubeなどの視聴が増えたことで「動画編集」の仕事が急速に伸びています。またUber Eatsでは副業としてスキマ時間に宅配をする人たちが、収入を増やしています。
日本の最大の課題である少子高齢化・人口減少についてはIoTやAIを導入し、「Society 5.0」が活発化すれば単純作業や重労働の負担が減り、老若男女問わず働くことができるようになるので人手不足が解消されます。その反面、代替可能な職業については人の手がいらなくなる可能性があるということでもあります。
このように新しい仕事が増え、人でなくても可能なものは自動化等で減らすということがジワジワと進捗していくでしょう。
社会システムを大きく変えるかもしれない「Society 5.0」の広がりに乗り遅れないために、私たちはIoTやAIなどの最新テクノロジーやこれからのトレンドについてしっかりと学んでいくことが重要と言えるでしょう。
新しい社会になるということは、そこにチャンスが生まれるということでもあります。
是非このチャンスをつかみたいものですね。
併せて読みたい
AIや近未来のことを書いた本もピックアップしています。