生成AIで映像制作はどこまで変わるのか
“The launch of Scope and support for SDXL extends Daydream’s open infrastructure, linking creators, developers, and researchers building and experimenting with real-time video generation.”
— Business Wire / 2025年11月6日発表
2025年11月6日、DaydreamはリアルタイムAI動画・ワールドモデルを支えるオープンソース基盤として、新開発ツール「Scope」を正式発表しました。同時に、動画生成エンジン「StreamDiffusion」にSDXLモデルのネイティブサポートを追加し、スタイル、ControlNet制御、TensorRTによる高速処理などを強化しています。
生成AIが“静止画”から“動画”へ本格的に広がる中、このリリースは「制作フローそのものをAIが担う」段階への進化と見られます。
その背景と意味を整理して見ていきます。
生成AIの次の波──「動画」そして「リアルタイム」
Stable Diffusionをはじめとする画像生成AIが浸透し、技術の焦点は動画生成へ移りつつあります。しかし、動画制作は静止画に比べてさらに複雑で、
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時間的な一貫性
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ポーズや構図
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スタイルの維持
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編集工程
などを踏まえる必要があります。
そのため、単に“モデルが生成できる”だけでは不十分で、制作過程を扱える環境がますます求められています。
こうした流れの中で、Daydream が提供する Scope や StreamDiffusion SDXL 対応は、動画制作に欠かせない「制作フロー重視」へ舵を切っています。
何が新しいのか?──Scope と StreamDiffusion SDXL
■ Scope
Scope は、リアルタイム動画生成を中心とする開発環境ツールです。
ポイントは、AI生成を「工程」として扱えるようにするところです。
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モジュール化されたワークフロー構築
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ローカル/クラウド実行
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他モデルとの統合
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制作過程のリアルタイム操作
といった制作パイプラインに近い設計を持ち、
「動画生成=1枚画像の延長」という従来の認識を超えて、
映像制作のプロセスをAIがサポートする枠組みを提供します。
■ StreamDiffusion SDXL
動画生成エンジン「StreamDiffusion」に、SDXL へのネイティブ対応が追加されました。
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画質向上
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スタイル制御
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IPAdapter
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Multi-ControlNet
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TensorRT による高速化
など、映像制作におけるいじりどころをAIレベルで提供。
プロンプトだけに依存しない、Directable な生成が可能になります。
表現力の強化と同時に、リアルタイムのプレビューが可能となり、
従来の「生成→確認→再生成」サイクルから一歩前進した形です。
Wan2.2との違いは?
Daydream の今回のリリースを理解する上で、
既存の動画生成モデルとの違いを整理しておくと分かりやすいです。
多くのクリエイターが利用している代表例として Wan2.2 があります。
Wan2.2 は非常に優れた生成モデルで、
「テキストや画像 → 動画ができる」
という工程を強く支援します。
しかし原則として
動画をどう作るか(カメラワークや構図、ポーズ制御)
という“制作工程”までは扱いません。
一方、Daydream の方向性は、
生成そのもの+生成プロセスの制御まで視野に入れた“制作環境”
という点が大きく異なります。
つまり、
✅ Wan2.2 = 完成品の生成が強い
✅ Daydream = 制作工程を含めたワークフローを扱う
という関係性です。
| 項目 | Wan2.2 | Daydream(Scope + StreamDiffusion SDXL) |
|---|---|---|
| 立ち位置 | 動画生成モデル | 制作ワークフロー+生成モデル |
| 役割 | 結果を作る | 工程を作る/操作する |
| 入力 | テキスト・画像 | テキスト・画像+ControlNet |
| 制御性 | 弱い | 強い |
| カメラ指示 | 基本不可 | 可能 |
| スタイル | 標準 | IPAdapter / ControlNet多重 |
| リアルタイム性 | 低い | 高い |
| 想定用途 | 「動画が欲しい」 | 「制作フローを作りたい」 |
つまり Daydream は
AIの“動画制作現場”を作る
という立ち位置と言えます。
「作って終わり」から「作りながら調整できる」へ──
この点こそ、今回のリリースの本質です。
クリエイターに何をもたらすのか?
Scope + SDXL対応のポイントは、
「制作現場」の効率化・高度化 にあります。
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ControlNet を使って
→ ポーズ・構図・被写体形状を保持 -
IPAdapterで
→ 顔・キャラクター維持 -
スタイル変換
→ 質感・質感のリアルタイム強調 -
TensorRT
→ 高速化(15〜25FPS)
つまり、
生成 → 編集 → 調整 → 確認
が同じ場で行えることが最大のポイントです。
活用例が見える
公式紹介では、
TouchDesigner向けプラグイン「StreamDiffusionTD」も紹介され、
ライブ演出や即時フィードバックを伴う用途も想定されています。
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ライブ映像演出
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インタラクティブ作品
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SNS動画制作
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小規模ゲーム開発
など、用途が広く、
「クリエイター × AI × 動画」の領域が一段と広がりそうです。
今後の可能性と注意点
今後、
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映像制作の民主化
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個人クリエイターの制作高度化
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制作工数の圧縮
などが期待されます。
反面、
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GPU負荷
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法的整理(権利/肖像)
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品質の安定
などの課題も残るため、
適材適所での運用が求められます。
まとめ:生成AI × 映像制作は「工程」へ
Daydream が示したのは
“動画を生成するAI”から
“動画を作るプロセスを扱うAI”へ
というシフトです。
Wan2.2 を中心とする生成モデル群が“素材”を作る存在だとすれば、
Daydream は
映像制作の舞台装置
と呼べるでしょう。
生成系クリエイターにとって、
この波がワークフローにどう影響するかは、
今後の大きな注目ポイントになりそうです。
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