動画生成AIを巡る競争は、ここ1年で一気に加速しました。
OpenAIの「Sora」、Googleの「Veo」など、従来の常識を覆すようなモデルが次々と登場し、「AIが映像を作る」という行為そのものは、もはや驚きではなくなりつつあります。
そうした流れの中で、動画生成AIの代表的な存在である Runway が、新たなモデル 「Gen-4.5」 をリリースしました。
CGWORLDが2025年12月14日に報じた内容によると、Gen-4.5は単なる画質向上にとどまらず、「物理挙動の自然さ」「複雑な演出指示への追従性」「映像全体の一貫性」を重点的に強化しているとされています。
このアップデートは、一見すると地味に見えるかもしれません。しかし実際には、動画生成AIが「デモ用途」から「制作ツール」へと移行する重要な転換点を示しています。
本記事では、Runway「Gen-4.5」の特徴を整理しながら、動画生成AIが今どこまで来ているのか、そして私たちはそれをどう捉えるべきかを解説します。
Runway「Gen-4.5」とは何か?
Runwayは、動画・映像分野に特化した生成AIプラットフォームとして、早い段階からクリエイターに支持されてきました。
画像生成から動画生成へ、さらに編集・合成までを一貫して行える点が特徴です。
Gen-4.5は、そのRunwayが提供する最新世代の動画生成モデルにあたります。
Gen-3、Gen-4と段階的に進化してきた中で、Gen-4.5は「世代交代」というよりも、既存技術を制作レベルに引き上げるための調整版という位置づけに近いモデルです。
派手な新機能を前面に押し出すのではなく、
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生成結果の安定性
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指示通りに動く再現性
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実制作で破綻しにくい映像構造
といった、プロ用途で本当に重要な部分を底上げする方向に進化しています。
Gen-4.5で強化されたポイント
ここでは、Gen-4.5で特に注目すべき進化点を整理します。
主な強化点一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物理挙動 | 人物や物体の動きがより自然に |
| 演出追従性 | 複雑なカメラ指示・動作指定に対応 |
| 一貫性 | キャラクターや背景の破綻が減少 |
特に重要なのは、「プロンプト通りに動くかどうか」という点です。
従来の動画生成AIでは、静止画としては美しくても、動かした途端に違和感が出るケースが少なくありませんでした。
Gen-4.5では、
・歩行や振り向き
・カメラの回り込み
・背景と被写体の距離感
といった部分の破綻が抑えられ、連続した映像として成立しやすくなった点が評価されています。
Sora・Veoと比較したときのRunwayの立ち位置
動画生成AIの話題になると、どうしても「どれが最強か」という比較になりがちです。
しかし、Gen-4.5を理解するうえでは、少し視点を変える必要があります。
主要モデルの方向性比較
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Sora(OpenAI)
圧倒的なスケール感と話題性。
「映画のような映像」を一気に生成する力が強み。 -
Veo(Google)
映像理解力とデータ量に基づく安定した生成。
Googleらしい技術力重視の設計。 -
Runway Gen-4.5
制作現場での扱いやすさと制御性を重視。
「思った通りに作れるか」を最優先。
Runwayは一貫して、「派手さ」よりも「使いやすさ」を重視しています。
Gen-4.5もその延長線上にあり、何度も生成し直さなくても狙った映像に近づける点が最大の価値と言えるでしょう。
動画生成AIは「実験」から「制作」へ
Gen-4.5の登場が示しているのは、動画生成AIのフェーズ変化です。
これまでの動画生成AIは、
とりあえず作ってみる
驚きを共有する
といった「実験的な使い方」が中心でした。
しかし現在は、
-
SNS用の短尺動画
-
広告用コンセプト映像
-
映像制作前のラフムービー
といった実務寄りの用途が現実的になりつつあります。
特に、完成品ではなく「途中段階の映像」を素早く作れる点は、従来の映像制作フローを大きく変える可能性があります。
クリエイターはGen-4.5をどう捉えるべきか?
ここで重要なのは、「AIがすべてを代替する」という発想から一度距離を取ることです。
Gen-4.5を使っても、
-
どんな映像にしたいのか
-
どんな動きをさせたいのか
-
視聴者に何を伝えたいのか
を考えるのは、依然として人間です。
むしろ今後は、
-
演出を言語化する力
-
動画全体を設計する構成力
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AIの特性を理解した指示力
といったスキルの重要性が高まります。
Gen-4.5は、そうした力を持つクリエイターにとって、非常に相性の良いツールだと言えるでしょう。
まとめ|Gen-4.5が示す動画生成AIの次のフェーズ
Runway「Gen-4.5」は、動画生成AIの未来を派手に誇示するモデルではありません。
しかしその代わりに、「実際に使えるかどうか」という一点に真剣に向き合った進化を見せています。
動画生成AIは、
「驚かせる技術」から「使い続けられる技術」へ。
Gen-4.5は、その境界線を静かに、しかし確実に越えたモデルだと言えるでしょう。
今後のアップデートや他社モデルとの競争によって、この流れがさらに加速していくことは間違いありません。
動画生成AIに関心のある方にとって、Gen-4.5は「試す価値のある現在地」を示す存在です。
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